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環境問題に憑かれて
音羽通信 2019.12 月号
循環資源研究所 村田徳
鎌倉生まれで25歳まで鎌倉に住んでいた。
1959
出来たのを機にそこに転居した。現在でも
その場所(台東区下谷)に本社はある。
その後、埼玉県草加市に工場と研究所
でき、研究所の主任としてそこ 移った。
田舎の中小企業で企業内技術者としてか
なり自由に7 (本社勤務2 ) 活動して
成・
東洋曹達など一流 企業の技術者
とも知り合いになったが、今まで取組んで
きたCdPbCrMnCoNiSbCu
CN化合物など重金属系化合物に対する自
分の技術が
価されるのか、疑問が湧き、受験条件が
務経験7 りで
みることにした。
難なく ( )
登録の段で秘守義務に悶着があり、ようや
く企業内技術
1年遅れてしまった。
日本技術士会化学部会の会合に初めて出
席したとき、面接の試験官であった保土ヶ
谷化学の常務をして
た。 あなたのことはよく覚えている。一
緒に工場長も受験したが、技術士としては
力不足だが、彼を不合格にすると、あなた
は意地悪されて、会社にいられなくなる。
あなたを技術士にしたいために工場長も一
緒に合格させた。」と言われ温情ある試験
官に恵まれたのを幸運に思った。この会合
化学部会では最年少であることを知った
1970 年「公害国会」で典 7 公害を規制する
公害防止法と同時に当時「清掃法」に代わり「廃
棄物処理法」が制定された。
企業内技術者として、若輩ながら研究所長を仰
せつかっていた筆者は、これからは公害対策をし
っかりしないと会社がつぶれると事実上会社の
創立者である専務に進言したが、聞き入れられず
1971 年研究所長の席をけって、技術士事務所を
起ち上げたが、5 月に提出した退職願いは慰留・
慰留で引き伸ばされ、意志が固いということで
許可が下りたの 9 月であった。
9 月下旬、日本鉱業会秋季大会が北海道大学で
開催され、これに参加した。この大会には見学会
が付随しておりオホーツク海に面した紋別の龍
昇殿水銀鉱山を見学するコースを申込んだ。途中、
った
館・郵便局などの廃墟をバスで通過した
龍昇殿は紋別を見下ろす 200m の高台にあり
通洞口から下ったところに、見学者用に硫化水銀
の赤い鉱床が残してあり記念にその鉱石を貰っ
てきた。今でもその鉱石は筆者の事務所にある
見学会の解散後湖面がよく見える摩周をみ
た。その後 3 回摩周湖へ行ったが霧の摩周湖
滅多に見られないことをテレビ知った。釧路で花
咲ガニを食べ、北海道を半周したが、頭に入らな
るよ地名
記憶には現地を訪れるのが早道と知った
197576 年かはっきり覚えていないが、北海
道大学で開催された日本化学会の大会で有害物
質の講演を依頼された。現代技術研究会の会員で
ある北海道大学遠藤教授「スライドを見て、
気紙芝居を見ているようであった」もう一人の
現代技術研究会の会員は「さすが落語好きの演者
の話は間がよく判り易かった」との批評を受け
た。
懇親会の席上
輩、東京工大尾崎教授にお会いしたら「君、一山
あてたね」と言われた。当時、北海道へは飛行機
で行くのが富裕層の常識になっていたらしく、
った
た。二次会で北海道大学神山先生にお目にかかり
その後、北海道の廃棄物施設でお世話になった
この時、留萌にある日本酒造の北限、本間酒造
から「国希」頂戴した。
2
独立してからの仕事は、化学知識を生かした産
業廃水処理の技術指導であった。そこで、廃水を
浄化するすると汚泥が発生、特にめっき廃水など
から発生する汚泥には、不滅の元素である重金属
が含まれ、これを資源化すべく 1975 年に株式会
社循環資源研究所を起ち上げたが、初めは腎臓の
人工透析会社と間違えられたこともある
1975 年、東京都が買収した土地や市街地が 6
が発した
が、当時は市街地の土壌汚染を規制する法令も無
く、6 価クロムは農用地の土壌汚染物質の対象に
もなっていなかった。
「厚生省委託 49-2『有害物質を含む産業廃棄物
の発生過程に関する調査研究』を筆者が受託し
報告書」を 200 部、1975 3 月に厚生省に納め
た。この報告書は、国会でも取り上げられ、この
報告書のおかげで厚生省は追及されず、通産省か
ら恨まれたそうである。
この報告書は話題になり入手希望者が続出し
たため、東洋経済新報社から「産業廃棄物有害物
質ハンドブック」とし 1976 年に出版した。
6 価クロム土壌汚染専門委員会は、早稲田大学
教授の不正疑惑が表面化し、解散され、新たに市
街地土壌汚染専門委員会が組織され、6 価クロム
委員から選ばれたのは、東京農大蜷木教授と筆者
のみであった。
1984 年「くらしの手帖」が乾電池の水銀問題
をとりあげたがこれが社会問題となり電池工
業会は 10 円のデポジットで廃乾電池等を回収す
る案が成立することになった。しかし、乾電池の
デポジットが成功すると他の製品にも波及しド
ミノ倒しのように、他の製品にも普及することを
怖れた経済界から横槍が入り、デポジットは葬り
さられた。
筆者は依頼原稿しか書かず、原稿の売り込みを
しないが、水銀は専門分野でもあり水銀に対す
る原稿依頼と講演が続いた。たしか NHK も出
演した。
「いんだすと」へ掲載する水銀と無関係な寄稿
に対し、関係官庁から掲載罷りならんと圧力がか
かった。当時「いんだすと」の編集長をやっていた
上田晃輔氏は、「いんだすと」は、監督官庁と
して
機関誌であり、文句があるのなら、紙幅を用意す
るから、堂々と反駁したらどうかと官僚に迫った
論統
の原稿を掲載してくれた今のように忖度と同調
圧力が幅をきかせることなく、反骨精神の持主が
当時は存在していたのである。
それに引き替え川崎にある厚生省の天下りが
作った財団ではゲラの校正まで終わった水銀と
は無関係の依頼原稿が官僚の圧力で没になった
とこ
からと掛け合ったが、原稿の内容ではなく筆者の
載さ
ことであった。官僚としては自分たちの権威を示
し、干してやるつもりであったかも知れないが、
筆者は原稿料で生計を立てているのでもなく、
稿依頼は沢山あるので痛痒を感じなかった。
1976 年頃から筆者はこの財団で講師を務めて
いた。この官僚はそのことを知らなかったらしい。
「いんだすとに連載を始めて 2019 11 月号で
20 回になるが、そこに上田晃輔氏が写真入りで載
っており、しばらくお目にかかっていないので
道で合ったら判らないほど貫禄が出ていた。
廃棄物処理法では、廃棄物を一般廃棄物と産業
廃棄物に分類し一般廃棄物は地方自治体にその
処理責任が、産業廃棄物は排出者責任で処理・処
分することが制度化された。
現在、産業廃棄物の団体は軒並み、産業資源循
環協会とその名を換え、廃棄物連合会も全国産業
資源循環連合会に改められている。
1991 年、ドイツで制定された容器包装廃棄物
令に遅れること 9 年、日本では 2000 年「循環
社会形成推進基本法」が公布され、容器包装リサ
3
イクル法など成立したがドイツのような事業者
責任が抜け落ちていた。
一般消費者にとって、目に見えない CO
2
と比べ
て、漂着するクジラの死骸から見つかる廃プラや
った
ーの印象は強く海洋プラスチック問題を契機に
削減
を進めようという動きが国内外で見られるよう
になってきた。
しかし、生物分解性プラスチックはあくまで、
プラスチックの一種に過ぎず、このプラスチック
により、廃プラによる海洋汚染が解消されること
は無い。
日本では 2019 5 月に「プラスチック資源循
環戦略」が政府によって策定・公表された。
21 世紀に入ってから、日本でも給湯施設が増え
つつあるが、廃棄物を燃料とした給湯施設は極め
て少ない。CO
2
削減の観点からは、生分解可能な
プラギー
い単純焼却をやめ、熱電併給システムに変換する
必要がある。
問題は燃料
にかかっているプラスチック産業界が反対する
デポジット方式やドイツ DSD システムに似た
方法などで、拡大生産者責任を産業廃棄物と一般
廃棄物事業に広げ、資源化・リサイクル事業に産
如何
ある。
光合成
光合成は、CO
2
をエネルギー媒体として太陽エ
ネルギーを化学エネルギーに変換して、繰り返し
従属栄養生物が利用するシステムであり、人工光
合成も原理は同じである。CO
2
イクでは
CO
2
の削減にはつながらない。
砂漠を緑化し植物に CO
2
を固定するのが、
道である。しかし、砂漠の国、アフガニスタンで
化す
医師が、2019 12 4 日、銃撃を受けて亡くな
ってしまった。現地には自分たちの利権を守る
ため、テロを続ける輩も多い。
国際協力事業団 5 年もかけて緑化した人工林
が、一夜にして灰塵と化した。遊牧民が燃やして
しまったのである。人工林では放牧できないが、
人工林を燃やして草原にすれば、牧畜ができると
言うのが、彼らの発想であり、遊牧民には国境は
なく、どこの国にも属さない自由人がいという
水素の利用
エネルギーに対する基礎知識は重要である。
水素を燃料電池の燃料として使うのであれば、
ーま使
は言えない。
併給
はメタンから水素を造り稼働させている
原発は地球温暖化に貢献?
燃料とは激しい酸化反(燃焼)ら熱エネルギ
ーを取出す物質をいうが核分裂反応は燃焼では
ないが、熱エネルギーを取出す物質を核燃料と呼
ぶのは、核反応に対する嫌悪感をごまかすために
用いたと言われている。
2019 年の世界原子力産業現状報告によると、
過去 10 年で太陽光と風力のコスト 88%、69
と下がったのに対し、安全対策の強化を求められ
た原発は 28%上がった。地球温暖化には効果的で
はないと述べている。
原発は熱効率が 19%残りの 81%は海水中に
てられ、地球温暖化を促進させ、三重水素(トリチ
ウム)からなる放射性の水も排出している
ており土壌には平均 24ppm(おもな分布範囲は
0.711ppm で、農地ではリン酸系化学肥料の使
用により最大 15ppm、海水中には 0.003ppm
まれると推定されておりその総量は銀の 40 倍、
スズと同量におよぶ。資源エネルギー庁が 2007
4
年時点で 130US/ kg/ドルの採掘コストを想定し
て行った試算による。確認可採埋蔵量は 547 万ト
可採数は 6080 推定れて
2007 年度のウランの世界需要は約7 万トン、2010
年度のウランの平均スポット価格は 44 ドルであ
った。鉱床のある主な資源国はオーストラリア・
カザフスタン・ロシア・南アフリカ・カナダ・ア
メリカ・ナミビア・ブラジルなどで、石油のよう
に極端な資源の偏在性はない。
国連科学委員会の報告によると、世界では現在
14 カ国がウランの採掘を行っており、これまでに
100 トン以上のウランが採掘された。そして残
土は 16 8000 万トン以上にのぼるといわれてい
る。この想像することもできないような量の残土
また
で、野積みにされている所が大部分である。鉱滓
るた
ばされ、大雨が降ると川に流れ込み環境を汚染す
る。アメリカのチャーチ・ロックでは、ユナイテ
ッドニュクレアー社の放射性廃棄物貯蔵ダムの
堤防が崩れ、油と硫酸を含む放射性廃棄物が、ナ
てい
流れ込み、150km 流まで汚染した事故後、
錬所は閉鎖されたが、川からはラジウム・ウラン
など高濃度の放射能が検出され、川の水も井戸水
も飲めなくなった。しかし、家畜はその水を飲ん
でいるので、家畜の肉を食べる人間も当然放射能
を体の中に取り込んでいる。このような放射能汚
採掘
る問題である。そしてウラン 238 の量が半分に減
る時間(半減期)は地球が誕生して今日までの時間、
すなわち 45 億年もかかる。このように鉱滓は厄
介なゴミで、ウラン採掘をしている国はその処分
に頭を悩ませている。しかし、このゴミが湾岸戦
争・コソボ紛争・イラク攻撃等で莫大な量使われ
化ウ
用され、広い地域を放射能で汚染した。
アメリカ先住民はゴールドラッシュやウラン採掘を
どう見るのか
ネバダウエスタン・ショショネの長老キャリ
ー・ダンはいっている。
とし
とも、金を探し当てようとして水をくみ上げるこ
とも犯罪です。人類に対する犯罪です。いのちに
対する犯罪です全人類が依存するいのち。いい
え人類だけでなく、他の生き物もいます。私たち
の土地には、鹿もいるし、鷹もいるし、ウサギた
ちもいます。金を掘り出すものはそれらすべてを
破壊に導き、いや現に破壊し、未来の世代のいの
ちは失われてしまうでしょう」
ナバホ部族のアンナ・ロンドンは「私たちナバ
ホは、その創世神話の中で、ウラン(ナバホはそ
れを地下世界からのクレッジ(cledge)と呼ぶ)
は大地の中に留めておくべきものだ、といつも教
わってきた。それは黄色の物質で、昔からの言い
伝えで知っていた・・中略・・・ウランは
中に留めておくべきだった。もし解き放たれたな
ら、世界中の先住民文化でもそう考えられている
ように、それは邪悪な蛇になり、災害や、死や破
壊をもたらすだろう・・・。
ウラン鉱石の採・ウランの濃縮と加工・原発
建設工事でも大量の CO
2
を排出し、地球温暖化
を促進している
原子力広告を点検すると、必ず「発電時に」
いう四文字が添えられていることに気づく。これ
は、実際は大量に CO
2
を排出するが時間軸を狡猾
に区切って「発電時に CO
2
を出さない」といえば、
法律上、偽り広告の責任を問われない計算である。
いったん「発電時」が済むと、原子炉から取り
出される核分裂生成物は「使用済み」という言葉
に包まれるが、本当は核兵器の原料であり、たと
え転用されないにしても、冷やしなが 10 万年
も保管しなければならない。そんな保管期間にど
のくらいの CO
2
が排出されるか人間の計算が及
ばない次元である。
5
際し、撒き散らし CO
2
の量は、だれも把握して
いない。自衛隊と警察と消防隊員と米軍も出動し
て、ヘリコプター・大型トラック・放水車・各種
の建設重機なども使い非常電源に至っても CO
2
を排出し続けてきた。
原発を売り込むために重宝していた間はやた
らと CO
2
を悪魔みたいに扱い「大変だ! 常気
象が増えて地球は危ない!」と恐怖を煽たが
PR の道具として使えない状況になった途端、地
球温暖化騒ぎは下火になり、フクシマ CO
2
排出
に政府はまったく触れもしない。これから延々と
続く無駄な「除染作業」 CO
2
排出をともなって
いる。原発は「少しの燃料」で稼働すると簡単に
言い切ってしまったそのうらには、このように多
くの重大な問題が隠されている。そのことをバッ
サリと切り捨てて良いはずはない。
洋上原発の売り込み
原子力事故を防ぐため、原発は通常、地盤が強固
クが
る。一方で、原子炉を動力源とする原子力船(原
子力潜水艦を含む)が 1950 年代から実用化され
ており、さらにロシアと中国は浮体式で海上を移
動可能な水上原子力発電所を開発している。
ロシアのロスアトムは、ムルマンスク港内で世
界初の海上原発「アカデミック・ロモノソフ」を
稼働させたと 2018 12 月に発表し、今後、シベ
ある
ことを計画している。また中国は南シナ海で領有
の電
していると推測されている。またロシアによる原
発輸出は、原発の建設を請け負うだけでなく、核
燃料供給から人材育成、放射性廃棄物回収までを
担うことが強みとなっている。
ウラン燃料製造からの CO
2
の発生
採鉱 (Mining)
ISL: In-situ leaching その場浸出)という、鉱
石を採掘することなく、鉱床中に酸又はアルカリ
ンな
る方法も実用化されている。
合は露天掘りが行われる露天掘りの場合は大型
機械の導入が可能なので生産規模や能率は坑内
堀より大きい。しかし、ウランを含んだ残土がむ
き出しになっており、これでは乾くと埃となって
周辺に飛び散り大雨が降ると川に流れ込むとい
る深
こす。ウランを含んだ土には、ウランだけでな
トリウムラジウムなどの放射能も含まれ、これ
を吸い込むと肺がん・骨肉腫などの原因になる
精錬 (Milling)
採掘された鉱石は精錬工場に運ばれ、粉砕・水
洗する。その後、濃硫酸・アンモニア等を使用し
段階的にウランを他の混合物から分離精製する。
精錬されイエローケーキは、さらに濃縮工場に
運ばれてウラン燃料になる。残渣は沈殿池に入れ
たり、野積みにされている。これにはまだ放射能
が多く残っており、環境汚染が問題になる。
普通の大きさの原発(100 万kw )を一年間運
転するのに必要なウラン 30 トンであり、この
30 トンを製造するために CO
2
がどのくらい発生
するかは公表されていないが、石炭火力の次であ
り莫大な量といわれている。
採掘されたウラン鉱石は粗製錬工場で粉
鉱されウラン含有率 6075%ぐらいまで高
られる。
この粉体をウラン精鉱(イエローケーキ)と呼び
八酸化三ウラ(U
3
O
8
)含有量で価格を決める。
ラム
場へ出荷される
6
転換 (Uranium conversion)
(UF
6
)に転換する。これは 48Y シリンダー(直径
1.4m長さ約 3.8m の鋼製円筒容器)と呼ばれる
送容器に封入して濃縮工場に出荷する。
濃縮 (Enrichment)
天然のウラン鉱石中のウラン 235 とウラン 238
の割合は 0.7% 99.3%であり、核分裂を起こす
ためには、ウラン 235 濃度を高くしなければな
らない。この操作を濃縮という。
ンは、ウラン 235 が約 3%と核分裂しないウラン
238 97%からなっている。
UF
6
は濃縮工場に送られ、ウラン 235 の比率(濃
縮度)を 0.7%から 34%に濃縮する。濃縮工程
では 96%副産物の劣化ウランになる。アメリカ
には 47 万トンの劣化ウランがある。
UF
6
は燃料加工工場で二酸化ウラン(UO
2
)のペ
レットに加工され、ジルコニウムの被覆管に納め
られて燃料棒になる。これを多数束ねたものが燃
料集合体である
30 トンの燃料を造るために、ウラン残土が約
240 万ト鉱滓(低レベル放射性廃棄物) 13
万トンでると計算されている。
原発廃止でも地球温暖化抑制の試算
2018 年度の国内の温室効果ガスの総排出量は
12 4 千万トン余で前年度より 3.6%減、5年連
続で減った。大手電力 10 社でつくる電気事業連
合会は「電力供給での原発の比率が増え、火力の
比率が減ったことなどが理由」と主張する。
だが、そもそも国内の電力需要は微減傾向にあ
る。そして福島第一原発事故前に電力供給の3分
の1程度を占めた原発は事故後、再稼働があまり
進まず、今は供給の数%にとどまる。
立環
では、50 年までに原発を段階的に廃止しても
温上昇を 1.5 度に抑えられるとするシナリオが出
ている。その場合、石炭火力は廃止、太陽光や風
力など再生可能エネルギーが 89 割を占める。
オマ
CO
2
回収、貯蔵する CCS と呼ばれる技術も
用する。
発展途上国における原発建設
原子力発電所建設のための資金調達は、発注側
が自己資本で建設するだけでなく、受注した建設
者側が必要な資金を提供し、将来発電所から生じ
る電気料金などの収入で投資額を回収する、プロ
ジェクトファイナンスPF方式による建設の
傾向が生まれている。一度に工事費用を支払うの
が難しい国において、インフラ投資を促進する存
在としての役割を担う。
1「核の影を追ってビキニからチェルノブイリ
豊崎博光著 NTT 出版 1996
2「アトミックエイジ地球被ばくはじまりの半
世紀 豊崎博光 築地書館 1995
3シズメリ廊を
本田雅和、風砂子デアンジュリス 解放出版
2000
4「劣化ウラン弾Metal of Dishonor Depleted
Uranium 湾岸戦争で何が行われたか 国際行
動センター劣化ウラン教育プロジェクト、新
修/監訳 日本評論社 1998
5「核の 20 世紀」訴える世界のヒバクシ
協議会企画・編 平和のアトリエ発 1997
6「核燃料と原子炉材料」原子力の基礎講座
本原子力文化振興財団
7)アメリカ・インディアン闘争史「我が魂を聖
地に埋めよ」(デイブラウン著、鈴木主悦訳
想社 1972 年)
7 2016 9
16日閣議決定)
8) いんだすと Vol.34 No.11 2019