
4
はナフサを熱分解して生成するブタジエンを原
料にして製造されている。
アメリカで工業化されてから約 30 年後の 1960
年代、昭和電工ではこのプロセスでクロロプレン
を製造していたが、現在、クロロプレンはナフサ
を熱分解して生成するブタジエンを原料にして
製造されている。
アクリロニトリルの製造
デュポン社はネオプレンの開発後 20 年経過し
た 1948 年に羊毛の風合いをもったアクリロニト
リルの繊維(オーロン・日本名カシミロン)を発表
し 1950 年に市販された。
日本では 1950 年代末頃、三菱化成が日炭高松
炭鉱から発 生 す るメ タ ン CH
4
をアン モ 酸 化
(ammoxidation アンモオキシデーション)して得
たシアン化水素 HCN とアセチレン CH≡CH を
ニューランド触媒中で反応させてアクリロニト
リル CH
2
=CHCN を製造していた。
2CH
4
+ 2NH
3
+ 3O
2
→ 2HCN + 6H
2
O
CH≡CH + HCN → CH
2
=CHCN
現在、アクリル繊維や ABS 樹脂の原料である
アクリロニトリルはプロピレンを原料にしてソ
ハイオ法(アンモオキシデーション)で製造されて
おり、炭素繊維・ABS 樹脂や AS 樹脂の原料とさ
れている。また、アクリルアミド・アジポニトリ
ルの原料としても重要である。他に、ニトリルゴ
ム向けなどがある。
塩化第一銅の製法(乾式法)
ニューランド触媒の原料である塩化第一銅は、
水分が存在しない状態で金属銅(銅線・電気銅板)
を塩素と直接反応させると、熱と光を発して激し
い反応が起き、融点 442℃の塩化第一銅 CuCl が
生成する。
この反応をスタートさせるのには、金属銅を赤
熱する必要がある。銅線に過剰な電流を流して赤
熱させる方法や銅棒をバーナーで赤熱する方法
などがある。この反応は熱と光が発生するので燃
焼反応である。燃焼反応には必ずしも酸素は必要
ないことがわかる。
塩化第一銅の沸点は 1366℃と記されているが、
熔融状態では、刺激性の強い塩化第一銅ヒューム
(蒸気)が気化するのでその処理対策が必要である。
塩化第一銅の熔融塩を冷却した銅製のドラムで
塩化第一銅フレークにする。ニューランド触媒用
はフレークで良いが、シアン化銅原料にする場合
は粉砕して粉末にする必要がある。
塩化第一銅はほとんど水に溶けず、水溶性塩化
物である食塩 NaCl や塩化アンモニウム等には帯
黄色透明のクロロ錯体を形成して溶解する。
第一銅のトリクロロ銅錯体は不安定で水で希
釈すると分解して塩化第一銅の白色結晶を析出
する。
湿潤状態の塩化第一銅は空気酸化されやすく、
すぐに第二銅に変化するため、窒素置換などによ
って空気を遮断した状態で乾燥しなければなら
ない。
食塩溶液中で金属銅と塩素を反応させると塩
化第一銅と塩化第二銅の混合クロロ錯体溶液が
できる。この溶液を過剰の金属銅か還元剤(亜硫
酸ソーダ Na
2
SO
3
等)で還元するとトリクロロ第
一銅ソーダが得られる。
硫酸銅溶液に食塩を加え、亜硫酸ソーダで還元
すると第一銅クロロ錯体が生成し、これを希釈す
ると塩化第一銅が得られる。これは塩化第一銅の
湿式製法でもある。
今にして思えば、乾式法などで塩化第一銅など
を造らず、金属銅を塩化アンモニウム溶液に入れ、
塩素を用いて湿式酸化すれば、大気汚染にもなら
ず、作業環境は良好になったはずであるが、当時
はまだポリタンクのような耐腐食性の容器はな
く、実現しなかった可能性は高い。
2Cu + 4NH
4
Cl + Cl
2
→ 2(NH
4
)
2
CuCl
3
ナイロンの誕生
カロザスは石炭酸からヘキサメチレンジアミン